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子どもはスマホ依存?インターネット長時間利用の対策

| 11 Apr 2022
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現代の子ども達はスマホやタブレット、PC、ゲーム機、テレビなどに囲まれ、放っておくと何時間でもかじりついていることがあり、スマホ依存やネット中毒になるのではと心配している保護者の方も多いのではないでしょうか。本記事では、子どものインターネット利用の傾向や使いすぎへの対策を紹介いたします。

子どものインターネット利用実態

 内閣府(2022)の「⻘少年のインターネット利⽤環境実態調査」によると、子どもがスマホなどのデジタル機器を用いてインターネットを利用する割合は年々増加を続けています。令和3年度には満10歳から満17歳の子どものインターネット利用率はどの学校区分でも90%以上を超え、小学生(10歳以上)は96.0%、中学生は98.2%、高校生は99.2%とほとんどの子どもが利用中と回答しています。

 

 

 低年齢層の子ども(0歳から満9歳)でも、73.4%の保護者がインターネットを利用していると回答しました。通園中(0歳から6歳)では70.4%、小学生(6歳から9歳)では89.1%の利用率でした。

 

 

 同調査でインターネットを利用すると回答した子ども(満10歳から満17歳)の1日あたりの平均利用時間は4時間24分で、どの学校区分でも前年度と比べて約1時間増加し、小学生は約3時間27分、中学生は約4時間19分、高校生は約5時間31分でした。低年齢層の子どもの平均利用時間は前年度比7分増加の約1時間50分でした。

 

 また同調査における子どものインターネット利用目的を見ると、満10歳から満17歳の子どもが最も多くの時間を費やしているのは趣味・娯楽に関する活動で、平均利用時間は1日あたり約2時間45分でした。一方、学習目的での利用は前年度から23分増加したものの、平均利用時間は1時間1分と、趣味・娯楽での利用時間の半分もありません。この傾向を示すデータは生徒の学習到達度調査2018年調査(PISA2018)にもあり、他のOECD加盟国の子どもと比較すると、日本の子どもは学校内外のいずれでも学習目的のICT利用が少ないという特徴が見られます(国立教育政策研究所, 2019)。

 

 以上をまとめると、子どもは小さい頃から日常的に趣味・娯楽目的をメインにインターネットを利用し、年齢が上がるほど利用時間が長くなる実態があるようです。

 

長時間利用の問題点

 子どもはスマホやインターネットを日常的に利用していますが、デジタル機器の長時間利用による心身へ悪影響は看過できません。たとえば、近くを見る作業を続けることでの目の健康を損なう恐れや、座位姿勢を長く続けることと肥満や心身血管系の障害との関連が指摘されています。さらに気になるのは睡眠への影響です。病的なインターネットの長時間利用は睡眠不足の問題に繋がりやすく、また入眠前に液晶画面を見続けることも子どもの成長期に必要な良質な睡眠を妨げる要因として挙げられています(吉川, 2021)。

 そのほか、総務省が運営するWebサイト「安心・安全なインターネット利用ガイド」では、ストレートネックやスマホ巻き肩、スマホ老眼なども長時間利用によって引き起こされるVDT症候群(Visual Display Terminalsの頭文字で、ディスプレイを持つ画面表示装置のこと)としています。

 

節度のある利用を促すには

 子どもに使いすぎて欲しくないという理由で、安易に子どもからスマホを取り上げたり、利用時間に制限を設けたりするだけでは、子どもをインターネットから引き離すのは難しいでしょう。それどころか、子どもは禁止・制限されたことでより興味を唆られ、保護者の目から隠れてスマホなどを利用するようになるかもしれません。そうなるといざトラブルに巻き込まれたときに、叱られることを恐れて助けを求めることを躊躇してしまう可能性もあります。このような事態を避けるためにも、むやみに利用に制限をかけるのではなく、子どもが自律的にインターネットを利用できる能力を備えられるように支援することが、大人には求められています。

 

家庭での利用ルール作り

 子どもが自律的にデジタル機器を利用できるようになるまでに必要なのは、子どもと保護者の両方が納得できる家庭内での利用ルールを作り、運用することです。子どもが低年齢のうちは保護者からルールを提示する必要がありますが、子どもの年齢が上がれば上がるほど、ルールへの納得感が重要になります。子どもの要求と保護者の懸念をよく話し合い、双方ともに合意のあるルールを作ることで、子どものスマホやインターネットの利用制限への抵抗感を低減させる効果も期待できます。

 また、ルールは最初から完璧なものを目指して設定するのではなく、ルール違反があった場合や子供からの要求に応じて都度見直しの機会を設け、子どもの状況や成長にあわせて修正していきましょう。

 次の表には、ルールに盛り込みたい項目例とその説明を列挙します。

 

ルールに盛り込みたい項目

 

利用するデジタル機器

子どもがどの機器を使用してよいのかを明確にします。スマホやゲーム機だけでなく学習用タブレットも含めてリストアップします。

(例)スマホ、ゲーム機、PC、学習用タブレット

デジタル機器の所有者

子どもが使用するデジタル機器の所有権は誰のものであるのかを明確にします。低年齢のうちは子ども用に購入したスマホやゲーム機であっても、保護者が所有権を持ち子どもには貸与する形にした方が、大人による管理に納得感を得やすいでしょう。

利用目的

子どもがデジタル機器で何をするのか・したいのかを把握しておくことで、どのようなトラブルが発生しやすいのか傾向を掴むことができます。

(例)オンラインゲーム、家族・友人との連絡、インターネット

利用時間

子どもがいつ、どのくらいの時間ならデジタル機器を利用してよいのかを決めておきます。また利用可能な時間内であっても、優先して欲しい活動(食事や入浴など)があれば、中断してもらうようあらかじめ決めておくのも有効です。

(例)平日は15時から19時までの間の1時間、休日は10時から17時までの間で2時間、食事・入浴・外出を優先

利用場所

家庭内でデジタル機器を利用してもよい場所を決めておきます。夜間は機器の充電場所を家族の共有スペースにするなどして、デジタル機器を自室に持ち込ませないよう工夫するのもよいでしょう。

(例)利用・充電場所はリビングルームのみ

コミュニケーション対象

LINEなどのコミュニケーションアプリだけでなく、SNSやゲーム内のチャット機能でやりとりをしてよい対象を明確にします。

(例)家族のみ、現実に付き合いのある人のみ

お金

ゲーム内のアイテムやスタンプなどを購入する場合にどのようにお金を工面するのかをはっきりさせておきましょう。保護者のデジタル機器を貸与している場合は、事前の許可なしにクレジットカード決済ができないようになっているか設定を確認しましょう。

(例)課金アイテムは小遣いの範囲で購入、ゲームソフトなどの高額なものは誕生日・クリスマスプレゼントにする

ペナルティ

子供はルールを無視するものです。ルールを守らなかったからと言って、大人の都合で不規則に取り上げたり返したりするのはよくありません。利用を禁止にするのであれば、何をしたらいつまで禁止になるのか、子どもにも見通しの立てやすい形でルールに加えましょう。

(例)利用時間の制限を超過して利用を続けた場合は、翌日の利用はなし



ペアレンタルコントロールアプリの活用

 保護者は子どもが適切にルールを運用しているかを確認するために四六時中子どもを追いかけ回すわけにはいきません。子どものスマホやインターネット利用状況を把握し、過度な利用を防ぐには、セキュリティベンダーが提供するペアレンタルコントロールアプリの導入がおすすめです。「ESET Parental Control for Android」の「アプリケーションガード」機能を利用すれば、保護者のスマホやPCから子どもにとって不適切なアプリのブロック、ゲームアプリの利用時間制限、アプリの利用状況の確認ができるようになります。

 

「アプリケーションガード」機能では、子どもに利用させたくないアプリのブロックや、バッテリーの残量次第でのゲームアプリの立ち上げのブロックができます。

「ESET Parental Control for Android」の「アプリケーションガード」機能設定画面。

 

ゲームアプリに分類されたアプリの1日あたりの利用時間に制限を設けられます。平日、休日、時間帯による制限時間の変更も可能です。

「ESET Parental Control for Android」のゲームの時間制限設定画面。

「ESET Parental Control for Android」のレポート機能画面。ここからアプリごとの使用時間を確認できます。

 

最後に

 現代の子どもたちにとって、インターネットに接続できるデジタル機器は身近な存在です。将来にわたって使い続けるであろうデジタル機器だからこそ、子どものうちから自律的にインターネットを利用できる力を身につけることが必要です。家庭内での利用ルールを定め、利用実態を把握し、子どもたちの安全なインターネット利用を見守りましょう。

 

参考文献

内閣府(2022)「令和3年度 ⻘少年のインターネット利⽤環境実態調査 調査結果(概要)」

https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_torikumi/tyousa/r03/net-jittai/pdf/kekka_gaiyo.pdf

 

国立教育政策研究所(2019)「OECD 生徒の学習到達度調査(PISA)~ 2018 年調査国際結果の要約~」

https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/03_result.pdf

 

吉川徹(2021)「ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち」合同出版

 

総務省「安心・安全なインターネット利用ガイド」

https://www.soumu.go.jp/use_the_internet_wisely/trouble/reference/reference06.html

 

 

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