ペアレンタルコントロールとは?子どもがスマホやPC・ゲーム機を安全に利用するために
子どもが安全にデジタル機器を利用するには、保護者による見まもり(ペアレンタルコントロール)が欠かせません。本記事ではペアレンタルコントロールの重要性と、管理すべき項目の例をご紹介します。
子どもがスマートフォン(以下、スマホ)やタブレット、PC、ゲーム機器などのデジタル機器を安全に利用できるよう、保護者が利用に制限を加え、管理することをペアレンタルコントロール(親としての管理)といいます。ペアレンタルコントロールには、インターネットのフィルタリング機能やアプリやソフトウェアの使用時間制限機能の技術的措置と家庭内で利用ルールを作って運用すると言った非技術的措置があり、どのような制限を設けるかは、保護者が子どもの成長を見通し、その発達段階に応じて決める必要があります。
内閣府(2022)が実施した子どものインターネット利用実態に関する調査によると、現在では10歳以上の子どもの97.7%、10歳未満の低年齢の子どもでも74.3%がインターネットを利用しています。10歳以上の子どもがインターネットに利用するデジタル機器は、スマホ(68.8%)、ゲーム機(59.8%)、テレビ(46.7%)、⾃宅用のPCやタブレット(45.3%)、学校用のPCやタブレット(42.2%)と多岐に渡っています。子どもは日常的にさまざまなデジタル機器でインターネットを利用していますが、一方で、情報通信技術を安全に使うためのICTリテラシーが十分に身についていないために、インターネット上での犯罪やトラブルに巻き込まれるケースが後を絶ちません。
ペアレンタルコントロールの有用性を示すデータのひとつに、SNSに起因する事犯で被害者になった子どものフィルタリング機能の利用率の低さがあります。フィルタリングとは、インターネット上で違法・有害な情報にアクセスできないようシステムに制限をかける機能です。2018年には従来の「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」が改正され、携帯電話事業者にスマホ利用者が未成年の場合は、原則としてフィルタリングサービスを提供・設定する義務が課されました。ところが、警察庁(2022)発表の「令和3年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」によると、2021年中にSNSに起因する事犯の被害にあった子ども1,812人中1,025人(87.7%)が被害発生時にフィルタリング機能を利用していませんでした。
子どもをインターネット上での犯罪やトラブルから守るためにも、フィルタリングをはじめとしたペアレンタルコントロールは欠かせません。
フィルタリングと家庭内の利用ルールをあわせて導入することで、トラブル回避効果が高まるというデータもあります。総務省(2022)が公表した「我が国における青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査」によると、子どものインターネット利用に関して「家庭内ルールあり・フィルタリングサービスあり」「家庭内ルールあり・フィルタリングサービスなし」の場合、両方ない場合と比較してトラブルに遭遇しにくい傾向が顕著に見られました。一方で、「家庭内ルールなし・フィルタリングサービスあり」にはその傾向は見られませんでした。ペアレンタルコントロールを成功させるには、システム上の管理と家庭内ルールを組み合わせて導入することが肝要であるといえそうです。
保護者は子どもが利用するさまざまなデジタル機器を管理しなければなりませんが、基本的にはいずれの機器でもペアレンタルコントロールのポイントは同じです。次に、システム上で管理すべき項目と家庭内のルール例を示します。
フィルタリングには、スマホやPC、ゲーム機本体でWebサイトへのアクセスを制限する方法のほか、家庭内のブロードバンドルーターや無線LANアクセスポイントでアクセスを制限する方法があります。スマホやタブレット、携帯型のゲーム機などは自宅だけでなく街中で利用することも想定されるため、端末ごとにフィルタリング機能が必要です。据え置き型のゲーム機やテレビなどからのWebアクセスを制限したい場合には、ルーターでのフィルタリングが向いているでしょう。
アプリやソフトウェアの推奨年齢・対象年齢を守ることで、子どもが有害な情報にアクセスしたり、悪意ある人物から接触されたりするのを未然に防ぎます。スマホやゲーム機の場合は、利用者の年齢を設定することで、対象年齢外のコンテンツを非表示にできます。
また、対象年齢内のアプリやソフトウェアであっても、保護者の許可なく新規にダウンロード&インストールさせたくない場合は、スマホならアプリのインストールを許可しないよう設定し、ゲーム機の場合であればオンラインショップへのアクセスをブロックするなどの設定をします。
アプリやソフトウェアごとに利用時間の上限を設定し、子どもの使いすぎを防止します。
子どもが専用で利用する端末にはクレジットカード情報を登録しないようにします。ただし、低年齢の子どもは保護者の端末を使用していることが多いため、登録済みのクレジットカードを無断で使用してしまうケースが考えられます。このトラブルを回避するためには、クレジットカードの決済時には保護者の本人認証が必須になるサービスを併用するなどの対策が有効です。
デジタル機器利用に関する家庭内ルールを子どもに守ってもらうためには、子どもも納得できるルールであるかどうかが重要です。保護者と子どもが話し合いで双方の要求を明確にし、子どものICTリテラシー習熟度を勘案の上でルールを作るのがよいでしょう。
家庭内ルールに含めるとよい項目の一例を次に示します。
項目 |
例 |
利用時間 |
平日は午後7時まで、休日は合計3時間まで、など |
利用場所 |
リビングルームでのみ利用可能、夜間は保護者に預ける、など |
コミュニケーション |
連絡をとる対象は家族や実際に知っている友人のみ、他人の悪口や不快な内容の書き込みはしない、など |
お金 |
スタンプやゲーム内の有料アイテムはお小遣いの範囲で、新たなソフトウェアの購入は誕生日かクリスマスに限る、など |
個人情報 |
自分や他人の名前や住所などを特定できかねない情報や写真はインターネット上に投稿しない、など |
無線LANアクセスポイント |
街中で知らない無線LANアクセスポイントに接続しない、あるいは、接続してよいアクセスポイントを決めておく、など |
トラブルに遭遇した場合 |
保護者、もしくは信頼できる大人や機関に相談すること、など |
子どものスマホやタブレットがAndroid OSであれば、「ESET Parental Control for Android」の導入も有効です。
「Webガード」機能では、不適切に分類されたWebサイトへのアクセスをブロックするだけでなく、アクセスを制限せずに子どもがどのサイトを閲覧したかをモニタリングすることもできるため、子どものICTリテラシーの習熟度にあわせた管理が可能です。
「ESET Parental Control for Android」の「Webガード」機能画面。
「アプリケーションガード」機能では、保護者のスマホやPCから子どもにとって不適切なアプリのブロック、ゲームアプリの利用時間制限、アプリの利用状況の確認ができるようになります。
「ESET Parental Control for Android」の「アプリケーションガード」機能設定画面。
子どもが自律的にインターネットとデジタル機器を利用できるようになるまで、子どもの安全を守るためにペアレンタルコントロールは欠かせません。ペアレンタルコントロールにはシステム上の管理と家庭内ルールの両方が重要ですが、子どもの成長とともに保護者が管理すべき項目を見直し、段階的に減らしていくのが理想的です。
ESETペアレンタルコントロール for Android のページはこちらから
https://www.eset.com/jp/home/parental-control-android/
「ペアレンタルコントロールで防止する子供のスマホトラブル」のページも以下のバナーよりご覧いただけます。
“令和3年度 ⻘少年のインターネット利⽤環境実態調査 調査結果(概要)”. 内閣府. 2022. https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_torikumi/tyousa/r03/net-jittai/pdf/kekka_gaiyo.pdf, (accessed 2022-07-05)
“青少年インターネット環境整備法改正の概要”. 内閣府.
https://www8.cao.go.jp/youth/kankyou/internet_torikumi/pdf/hourei/h29_75-gaiyou.pdf, (accessed 2022-07-05)
“令和3年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況”. 警察庁. 2022.
(accessed 2022-07-05)
“我が国における青少年のインターネット利用に係るフィルタリングに関する調査結果”. 総務省. 2022.
https://www.soumu.go.jp/main_content/000812952.pdf, (accessed 2022-07-05)