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ネットいじめから子どもを守る対策とは?

| 11 Apr 2022
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インターネットの普及は生活を便利にした一方で、新しいタイプのトラブルを多く作り出しました。子ども社会においても例外ではなく、スマートフォン(以下、スマホ)などのデジタル機器を利用したインターネット上でのいじめ、いわゆる「ネットいじめ」が増えています。子どもを被害者にも加害者にもさせないためには、家庭ではどのような点に注意すればよいでしょうか。本記事ではネットいじめの概要と対策について見ていきます。

ネットいじめとは

 ネットいじめとは、インターネット上の掲示板やチャットに特定の子どもに関する誹謗・中傷を書き込んだり、特定の子どもになりすましてインターネット上で活動し、周囲にその子どもへの悪印象をもたせるような行為を言います。さまざまな種類があり、現時点では確立した分類はないものの、主に次のようなものがあると言われています。なお、実際のネットいじめでは、これらの分類がそれぞれの要素を複合的に含んでいる場合も多くあります。

 

ネットいじめの種類

挑発行為

メール、メッセージを使っての争い、けんか。怒りの言葉、侮辱的表現を被害者に送りつけること。

迷惑行為

からかいや攻撃の言葉を繰り返し被害者に送ること。

ネットストーカー

ひどい迷惑行為を繰り返し続け、被害者を騙したり恐怖感をもたせたりすること。

中傷行為

悪口をインターネット上の掲示板で広げること。被害者の評判や人間関係に傷をつけるように、噂話を第三者に送ったり掲示板に書き込んだり、画像などの情報をアップロードすること。

なりすまし

被害者の評判や人間関係を傷つけたり被害者をトラブルに巻き込んだりするように、被害者になりすましてメールを送ったり掲示板に書き込んだり、画像などの情報をアップロードすること。

拡散

自分の知っている被害者の個人情報や他の人に知られたくない情報や画像等を手に入れ、それをインターネット上に公開し拡散すること。

騙し拡散

第三者を騙して、被害者の個人情報、他の人に知られたくない情報や画像等を手に入れ、それをインターネット上に公開し拡散すること。

仲間外れ

インターネット上のグループから、被害者を意図的に仲間はずれにすること。

和久田学『学校を変えるいじめの科学』より抜粋

 

ネットいじめの特徴

 ネットいじめにはインターネットの特徴が反映されます。従来からある現実のいじめと異なる点は、

・匿名性が高く安易な発言が可能なため、子どもが加害者にも被害者にもなりやすいこと

・いじめがあるのを知っている傍観者の数は多いが、そのために仲裁活動をしないなどの責任忌避の傾向が強いこと

・インターネットがあるところなら場所や時間を問わずいじめが発生しやすいこと

などが挙げられます。ネットいじめの匿名性の高さや地理的・時間的な制約の少なさは、いじめの場面が限られる現実のいじめと違い、被害者に逃げ場のなさを感じさせやすくする可能性があります。

 また、ネットいじめは現実のいじめに起因する場合もあれば、現実とは関係なくインターネット上だけで独立したいじめが発生している場合もあります。身近な大人が子どもたちのインターネット利用の実態を十分に把握していないと、いじめの早期発見が難しくなり、効果的な対策を立てにくいという問題も指摘されています(文部科学省, 2016)。

 

増え続けるネットいじめ

 子ども社会におけるネットいじめは2000年代に顕在化し、ニュースなどで取り上げられるようになりました(浅田, 2021)。そして、現在でもその数は増え続けています。文部科学省発表の「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」では、学校におけるいじめの認知件数は前年度よりも減少したものの、「パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる。」の認知件数は18,870件と、前年度の報告件数17,924件よりも1,000件弱の増加が見られます。この増加傾向は過去10年にわたって見られることから、近年、子ども社会のネットいじめの問題は子どもにとってますます身近な問題になっていると言えます。

 

 

家庭でできる「ネットいじめ」対策

 インターネットを適切に利用するための教育として、ICT スキル教育や情報モラル教育がありますが、この2つは文部科学省(2016)がネットいじめを増加させない対策の一環として提案するインターネットに対する「理解の促進・実態の把握」と「情報モラル教育とルールの徹底」にも通じており、対策としても有効そうです。

 なお、中高生を対象にした研究(鈴木他, 2014)では、ICT スキルだけが高まるとインターネット上の仲間内攻撃行動が増加する場合があったものの、情報モラル教育によりネチケットが高まるとインターネット上の仲間内攻撃行動が減少する場合があったとしています。ICTスキルを教育する際には、情報モラルに関する教育もあわせて行うことが重要です。

理解の促進・実態の把握

 まず、保護者自身が子どもが使用するスマホやインターネットの特性と機能・性能に関する基本的な知識を持ち、デジタル機器で何ができるのか、また、利用にあたってどういった危険が考えられるのかの理解を深めていくことが重要です。

 ネットいじめはインターネット上で行われることから、子どものデジタル機器の利用状況を的確に把握していないと、万が一に子どもがいじめに巻き込まれたとしても発見が遅れてしまうかもしれません。子どもがスマホやインターネットをどのように利用しているのかについて関心を持ち、日頃から利用実態を把握しておくことも大切です。

 

情報モラル教育の充実とルールの徹底

 子どもにインターネットでのコミュニケーションは、相手の顔が見えないことや、文字だけのやりとりになるため、意図せず相手を傷つけてしまうこともあるかもしれないことを理解してもらいましょう。また公開範囲を限定した掲示板やSNSに投稿した内容であっても、自分の想定範囲を超えて拡散してしまう可能性があることなども知っておくとよいでしょう。総務省が運営するWebサイト「安心・安全なインターネット利用ガイド」には、さまざまなトラブル事例が公開されているので、子どもと保護者がともに目を通しておくのもよいでしょう。

 さらに、子どもと保護者が一緒にインターネットの利用ルールを設定し、その利用をモニタリングすることは、子どものインターネットの使いすぎを抑制し、ネットいじめに関与するリスクを低減すると言われています(西川・金子, 2012)。インターネットの長時間利用への対策については、別記事「子どもはスマホ依存?インターネット長時間利用の対策」もあわせてご参照ください。

 

子どものインターネット利用を見守るには

 子どものスマホやインターネットの利用実態を把握し、使いすぎを防止するためには、ぜひセキュリティベンダーが提供するペアレンタルコントロールアプリの活用を検討しましょう。「ESET Parental Control for Android」は、子どものスマホの利用状況の確認や、アプリの利用時間の抑制、不適切なWebサイトへのアクセスブロックなどが可能な保護者向けのスマホ管理アプリです。

 

「レポート」機能では、保護者のスマホやPCから子どもがどのアプリをいつ使っているかが確認できます。

「ESET Parental Control for Android」のレポート機能画面

 

「ゲームの時間制限」機能では、ゲームカテゴリ内のアプリの1日の使用上限時間を設定することができます。この上限時間は曜日や時間帯でも設定が可能です。

「ESET Parental Control for Android」のゲームの時間制限設定画面

 

最後に

 ネットいじめは比較的新しい形態のいじめです。教育現場の情報化が進んでいることもあり、今後も発生件数の増加傾向は続くのではないかと予測されます。その中にあって、子どもをネットいじめから守るためにも、身近な大人が子どものスマホやインターネットの利用実態を十分に把握し、情報モラルについて子どもとともに学び、ネットいじめを未然に防ぐ環境を作っていくことが大切です。

 

参考文献

 

和久田学(2019)『学校を変えるいじめの科学』日本評論社

 

浅田瞳(2021)ネットいじめの変遷に関する実証的研究 ─ 高校生を対象とした質問紙調査の結果から ─ 

https://archives.bukkyo-u.ac.jp/rp-contents/DK/0049/DK00490L001.pdf

 

文部科学省(2021)「令和2年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」

http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/06/08061612/002.htm

 

文部科学省(2016)「『ネット上のいじめ』から子どもたちを守るために-見直そう!ケータイ・ネットの利用のあり方を-(全文)」

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/040-2/toushin/1218012_1835.html

 

鈴木 佳苗、坂元 章、山岡 あゆち、桂 瑠以 (2014)「インターネット使用とネットいじめ・暴力の関係性に関する研究」

https://www.good-net.jp/files/original/201711012219122682265.pdf

 

西川・金子(2012)「ネットいじめの実態とその対策」

https://ci.nii.ac.jp/naid/120006995034/

 

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