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スマホカメラ・Webカメラの乗っ取りによる盗撮被害や位置情報特定の対策方法

| 28 Oct 2022
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子どもも気軽に利用しているスマートフォン(以下、スマホ)のカメラやWebカメラですが、盗撮などの犯罪に使われることもあり注意が必要です。本記事では、保護者が知っておくべきカメラの危険と対策をご紹介します。

スマホカメラ・Webカメラから盗撮される危険

 総務省(2022)発表「令和4年版情報通信白書」によると、2021年の調査時点での日本国内世帯におけるスマホの保有率は88.6%でした。このスマホの普及と比例するように増えているのが盗撮事犯です。法務省(2020)の資料によると、国内の盗撮検挙数はスマホが本格的に普及しはじめた2010年からの10年間で2倍以上に膨らんでいます。2019年に盗撮で検挙された3,965件のうち7割を超える2,871件でスマホが使用されました。

増加しているプライベート空間の盗撮

 また、検挙数の中でもスマホの普及に伴って近年著しく増加傾向にあるのは、住居内などプライベート空間における盗撮被害の深刻化です。先述の法務省資料によると、「通常衣服を着けない場所(住居、便所、浴場、更衣室等)」での盗撮事犯の検挙数は、統計開始年である平成29年は429件でしたが、令和元年には2倍以上の920件にまで増加しています。しかし、多くの都道府県が定める迷惑行為防止条例で取り締まりの対象になっている盗撮は、駅や電車など「公共の場所」で行われたものに限られているため、検挙が報告されたプライベート空間での盗撮件数は氷山の一角であると考えられます。

 

スマホからの盗撮対策

 プライベート空間をスマホで盗撮する手口のひとつとして考えられるのが、不正アクセスによる被害者のスマホの乗っ取りです。パスワードを窃用してスマホに侵入し、スマホ所有者が気がつかないうちに盗撮目的で遠隔監視アプリをインストールする、あるいは、スマホ所有者がインストールした不正アプリに盗撮機能が含まれている、などのケースがありえます。次にスマホの乗っ取り被害防止策の一例を紹介します。

 

パスワードの管理を怠らない

 警察庁(2022)の調査によると、2021年に不正アクセス禁止法違反で検挙された429件中、398件(92.8%)が識別符号窃用型(=パスワードの不正利用)の事犯でした。犯人がパスワードを入手した手口で最も多かったのは「利用権者のパスワードの設定・管理の甘さにつけ込んで入手」で、安易なパスワード設定や複数サイトでの同一パスワードの使い回しが狙われる要因になっています。不正アクセスを防ぐためには、パスワード管理を怠らないようにしましょう。

 

アプリのダウンロードは公式アプリマーケットからのみにする

 非公式のアプリマーケットでは本来は有料のアプリを無償提供するなどと騙り、マルウェアが含まれる不正アプリをインストールさせる手口が報告されています。アプリをダウンロードするときは、公式のアプリマーケットからのみにしましょう。

 

アプリが要求するアクセス権限に注意する

 たとえ公式アプリマーケットからダウンロードしたアプリであっても必ず安心であるとは限りません。アプリの要求するアクセス権限として、不必要にカメラ機能や外部へのデータ通信機能が求められるようなら、そのアプリの使用を中止した方がよいでしょう。

 

定期的にインストール済みアプリの棚卸しをする

 子どものスマホにインストールされているアプリをチェックし、見慣れないアプリや長らく使われていないアプリなどは子どもに相談の上、削除しましょう。

 この対策を補強する方法として、市販のペアレンタル・コントロールアプリを活用するのも一案です。ペアレンタル・コントロールアプリには、子どものスマホにインストールされているアプリを確認できる機能を備えているものが多くあります。たとえばイーセットジャパン株式会社が提供するAndroid向けペアレンタル・コントロールアプリである「ESET Parental Control for Android」の「レポート」機能であれば、保護者はコンソール画面から子どものスマホにインストールされているアプリ一覧を見ることができます。その中に怪しいアプリや長らく使用していないアプリがあれば、子どもと相談の上で削除すると良いでしょう。

 

ESET Parental Control for Android」の「レポート」機能内「最も使用したアプリケーションの確認」画面 

 

さらに不正アプリ対策・パスワード管理について知るには、当サイト内の別記事もあわせてご参照ください。

 ・不正アプリ対策「子どもを危険な不正アプリから守る!スマホ管理や対策方法

 ・パスワード管理「子どものスマホのパスワード管理は万全?保護者がやるべきセキュリティ対策」

 

Webカメラからの盗撮対策

 多くのPCに内蔵されているWebカメラも、スマホ同様にマルウェアに感染したり、不正アクセスを受けたりして、カメラ機能がハッキングされる危険があります。最も簡単で効果的な対策はWebカメラ部分をシールや付箋で覆うことです。そのほか、マルウェアを検出するセキュリティソフトを利用すること、機器を常に最新の状態にアップデートしておくことも盗撮対策に有効です。

 

自画撮りに潜む危険

 不正なアクセスによる盗撮だけがスマホカメラに潜む危険ではありません。13歳以上の10代の最も多いインターネット利用目的が「SNSの利用」(86.1%)(2021, 総務省)である現在、自らインターネット上にアップロードした写真や動画からプライベートな情報が特定されてしまう、いわゆる「身バレ」にも気をつけた方がよいでしょう。悪意のある閲覧者に個人情報を特定されると、実生活でつきまとい被害を受けるなどの犯罪に発展する可能性もあります。SNSなどインターネット上へ写真・動画をアップロードする際には、アカウントを非公開にすること、画質や画像のサイズを落とすこと、背景にぼかしを入れることなどの安全対策を講じる必要があります(佐々木, 2020)。そのほか、写真のExifデータに撮影場所の情報が含まれていないかなども十分に確認しましょう。自撮りに潜む危険については、当サイト過去記事「子どもの自撮りに潜む身バレ・写真悪用などの危険性と防止策とは」もあわせてご参照ください。

 

子どもが迷惑行為に及ぶ危険

 もうひとつ、保護者が気をつけたいのが、子ども自身がスマホカメラやWebカメラを介して迷惑行為に及ぶ可能性です。文部科学省が積極的に進めている教育現場でのICT利活用や、新型コロナウィルス感染症対策により、近年、子どもがオンライン経由で授業に参加する機会が急増しました。スマホカメラやWebカメラで自分の様子を配信しながらの授業参加が一般的ですが、ITモラルを習得中の子どもに次のような行動が見られるときは注意した方がよいでしょう。

 

気になる特定の参加者をじろじろ見る

 公共の場であれば、相手を不安に陥れるような著しい凝視は卑わいな言動として、各都道府県の「迷惑防止条例」に抵触するおそれがあります。オンライン授業は多くの場合、プライベートな空間からの参加になるため、多くの都道府県では取り締まり対象になるとは考えにくいですが、カメラ越しであったとしても他人を不躾に見つめることが迷惑行為であることは変わりありません。

 

参加者の許可なく画面をキャプチャし、他人と共有する

 オンライン授業では、相手にはバレないからと無断で自分以外の参加者が写り込んでいる画面をキャプチャしたり、キャプチャした画像を他人と共有する行為は、相手の「肖像権」や「プライバシー権」を侵害する可能性があります。不特定多数が閲覧する可能性があるSNSはもちろん、仲間内のみでやりとりするグループチャットであっても、他人の写真を許可なく共有するのは、予期せぬトラブルに発展するのを防止するためにもやめた方がよいでしょう。

 

最後に

 スマホカメラやWebカメラの普及により、誰もが手軽に写真や動画を楽しめるようになりました。しかしカメラが身近になった分、盗撮のような犯罪行為に使われたり、個人情報が流出する原因になったりすることもあり、保護者は子どもが被害に遭わないよう注意が必要です。ペアレンタルコントロールアプリを導入するなどして子どものスマホ利用を見守りつつ、カメラの使われ方・使い方について、保護者も子どもとともに理解を深めることが大切です。

 

参考文献

情報通信政策研究所. 令和4年度版情報通信白書令和. 総務省.2022. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nf104000.html, (accessed 2022-09-25)

 

盗撮事犯の検挙状況. 法務省. 2020. https://www.moj.go.jp/content/001347084.pdf, (accessed 2022-09-25)

 

令和3年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について. 警察庁. 2022. https://www.npa.go.jp/publications/statistics/cybersecurity/data/R03_cyber_jousei.pdf, (accessed 2022-09-25)

 

令和3年版 情報通信白書. 総務省. 2021. https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd242120.html”, (accessed 2022-07-30)

 

佐々木成三著. あなたのスマホがとにかく危ない――元捜査一課がおしえるSNS、デジタル犯罪から身を守る方法, 祥伝社, 2020.

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